米国大統領選と長期投資
2024年は世界で重要な選挙が行われます。
1月 | 台湾総統選 |
3月 | ロシア大統領選 |
4月-5月 | インド総選挙 |
6月 | 欧州議会選挙 |
9月 | 自民党総裁選 |
11月 | 米国大統領選 |
選挙結果は政治は勿論、社会・経済にも影響を与えます。特に11月の米国大統領選挙は世界の秩序、経済への影響も大きく株式市場もその行方を注目しています。選挙が近づくにつれ選挙結果と株式市場の動きを予想する記事が多く目に入ってきます。私たち長期投資家は選挙(とりわけ大きく報道される米国大統領選)の報道とどう向き合うかを整理してみましょう。
今年の選挙のニュースにどう対応するかを見るには過去どのように報じられてきたかを確認することが大切です。
注)記事の内容及び執筆者について評価するものではなく、長期投資家は選挙のような大きなイベントに関連する株価予想記事とどう向き合うかの参考のためと、ご理解の上お読みください。
記事の種類は大きく分けると2種類になります。一つは選挙の年(前年・翌年)の株価は過去〇回中、〇回上昇、上昇率は〇%、というような選挙に関連する法則についての記事。もう一つは候補者(各党)の政策と経済の関係から株価を予想する記事、です。
こちらのレポートは1970年以降の米国株の年間の値動きと選挙年との関係をまとめています。
https://search.sbisec.co.jp/v2/popwin/info/fund/report/fund_shiryou200117_12.pdf
これを見ると一番パフォーマンスが良いのは選挙前年、次が選挙翌年、となっています。2020年以降は以下のようになっています。
- 2020年(選挙の年) 7.25%
- 2021年(選挙の翌年)18.73%
- 2022年(中間選挙) -8.8%
- 2023年(選挙の前年)13.80%
このレポートによると勝った政党が共和党か民主党か再選か初当選かによる年間騰落率の違いは無いようです。
選挙の前年は高い、という法則は2023年には当てはまりましたが、選挙の年も少し高いというのが2024年にも当てはまるでしょうか?
こちらの記事は1960年までさかのぼって大統領選の年とその前後の値動きについてまとめてあります。
https://www.pictet.co.jp/basics-of-asset-management/column/20191230-2.html
目の前にある出来事に対しては不安に感じて何かに頼りたくなる気持ちになるかもしれませんが、運用会社に勤める数学や経済の博士や修士を納めた人が真剣に論じる内容と感じる人は少ないのではないでしょうか?
こちらは2017年1月、トランプ大統領初当選後に大統領と株式市場の関係について解説した記事です(記事が途中までしかご覧になれない方は無料会員登録で全文読むことができます)。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO12930470V10C17A2ENK000/
解説をかいつまんでみると以下のようになります。
- 大統領が企業寄りなら株高、という法則
- 一般的に共和党出身の大統領が企業寄り、民主党は労働者寄り、と区分できますが、近年の民主党も企業寄り
- この法則に立てば、トランプ氏が大統領に就任した17年も上昇の確率が高そう
- 任期切れとなるイエレン氏との協調がカギを握る
時の大統領の政策によって株高か株安かは決まるということですが注目すべきはこれらの解説ではなく右の株価推移の図ではないでしょうか?
マーケットが堅調だった大統領が記載されていますが、図を見る限り誰が大統領になっても株式を長期保有していた人が一番お金を殖やせたように見えます。
一つ目のレポートをみても毎年プラスだったりマイナスだったりするので上手にタイミングをとらえることがポイントのように見えますが実は1973年初のNYダウ平均は約1000ドルでした。大統領選のことなど気にせずに50年投資を継続していたら約37倍になっています。
上手に売買ができればもっと殖えていたかもしれませんが実際は売買をすることでパフォーマンスを落とした人の方が多かったのではないでしょうか?
選挙イヤーの今年、米国大統領選に関連した様々なニュースを目にすると思いますが長期投資家である私たちは、誰が大統領になってもその環境で企業活動を継続する企業の成長が時間の経過とともに株価に反映するのを待つ、というスタンスでいることが大切ではないでしょうか。