株式市場の特徴を数字でイメージする

株式市場は日々いろいろな理由で値動きをしています。長期投資で成果を得るためには、値動きの理由の確認や予想ではなく、株式市場はどのような値動きの特徴がある物なのかを理解しておくことが大切だと考えます。

下図は1970年から2020年までの世界株指数(円建)の推移と月次リターンを表しています(データ提供:一般社団法人経済教育支援機構)。

  • 青線:世界株指数の推移
  • オレンジ点:月次リターン
  • 赤線:月次リターンの平均

❶はブラックマンデーで、1か月に21%の下落、❷はリーマンショックで25%の下落、❸は記憶にも新しいコロナショックで、2020年3月は13%の下落でした。概ね10%を超える下落があると、●●ショック、などと呼ばれるようになるようです。

このグラフを見ると以下のようなことがわかります。

  • 株価は時として大きな下落があるが長期では値上がりしている。
  • 毎月の値動きはだいたい平均近くにあるが時々大きな値動きをすることがある。
  • 月次リターンの平均はプラスである。

平均リターンがプラス(=期待値がプラス)ということはできるだけ長く株式市場にとどまっていることが損をしないために大切だということになります。よく長期投資が大切と言いますが、ここでもそのことを確認することができます。

下図はオレンジ点の分布になります。

622カ月分のデータ中、リターンが10%以上だった月数は11回、5%~10%だった月は77回でした。622回中88回なので、7カ月に1度ぐらいは「今月は結構あがったな」と感じることになります。

一方5%以上値下がりしたのは、78回、8カ月に一度くらい「随分下がったな」と感じていることになります。残りの456回は、-5%~+5%の間で全体の73%、特に大きな値動きを感じなかった時期になります。

ニュースなどでは毎日、「今日は●●で上がった、下がった」と報道していますが、よく見ると大きく動くのは全体の3割程度、値下がりだけに限れば12.5%です。

短期投資では、次のオレンジ点がどうなるか、を予想することが大切ですが、長期投資では8カ月に1度程度ある大きな下落を我慢し、長く続けることが成功のカギであることがわかります。

注)リターンが低く表示されていますが、これは1971年12月から変動相場制になり、それ以前1ドル360円だったものが110円程度まで円高になったためです。