短期の株価予想は長期投資家にとって意味があるか?

株価の動きを伝えるニュースや短期的な値動きの予想は長期投資家にとって意味があるものかどうかについて2022年の下落相場を的中させたと評判になった著名株式ストラテジストを例に考えてみたいと思います。

下図(過去5年のS&P500指数推移)と合わせて記事をご覧ください。(取り上げたストラテジストについての評価ではなく短期の株価予想をすることと長期投資で成果を得ることの違いを理解するためという主旨であることをご理解の上ご覧ください)

  

まずはこちらの記事をご覧ください。

モルガン・スタンレーのマイク・ウィルソン氏が、インスティチューショナル・インベスター(II)誌の最新調査でポートフォリオストラテジストの1位に選ばれた。米国株に対するかねてからの弱気の見方が今年は的中した。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-10-25/RKB0BPDWLU6801

  

以下の記事は上記評価のもとになった2021年9月の予想です。

  • 弱気な見方が一段と現実味帯びる-モルガン・スタンレー
  • 20日の株価は世界的に下落、恒大集団の債務危機の影響を懸念

米国株は20%超下落のシナリオがより現実味を帯びつつあると、マイケル・ウィルソン氏率いる米モルガン・スタンレーのストラテジストが指摘した。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-09-20/QZQDLVT0AFB401

  

2021年9月は最高値の直前です。この後3か月ほど約7%上昇しますがその後は大きく下落。2022年の株式市場はインフレと金利上昇の影響を受け低迷しました。

少しさかのぼって2018年11月に出した2019年の予想も見てみましょう。2019年も2018年に引き続き低迷するとしています。

ウォール街有数の株式弱気派として知られる米銀モルガン・スタンレーの米国株チーフストラテジスト、マイク・ウィルソン氏は、今年について予測の正しさが既に立証されたが、2019年についても同じような展望を持っている。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-11-27/PITXJJ6KLVRJ01

  

しかしながら予想に反し2019年は2018年末の2506から3230と約30%の上昇となりました。

下記は今年にはいってからの予想です。2月には今年の上昇は終わったとの見解を出していました。

デービッド・J・コスティン氏らストラテジストはリポートで、年初から約8%上昇したS&P500種株価指数は、予想より良好な経済成長と債券利回り低下を正しく反映した水準にあると指摘。同時に、割高なバリュエーションとさえない企業業績、高い金利は、ここからの上昇余地がほとんどないことを意味すると分析した。モルガン・スタンレーのマイケル・ウィルソン氏も同様の見方を示している。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-02-06/RPNI73T1UM0W01

  

さらに3月にはいると、反発は一時的なもので下落は継続するとの見解を示しました。

ウィルソン氏は、次の上値抵抗線は3日終値を約2.5%上回る4150とみている。現在の上げは短期的な反発にとどまり、中期的には一段と下落すると予想。企業利益を中心にファンダメンタルズの悪化は続いていると指摘した。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-03-06/RR3E65T1UM0X01

  

弱気予想に反して株高は継続。ついに7月25日には「われわれは間違っていた」とコメントしました。

ウィルソン氏は顧客向けリポートで「われわれは間違っていた」と認め、「2023年はインフレ鈍化やコスト削減を背景に、予想以上にバリュエーションが上昇する状況となっている」と指摘。同氏のチームは最近、24年6月に重点を移し、S&P500種の目標を現在の水準を約8%下回る4200に設定した。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-07-25/RYBSDIT1UM0W01

いかがですか?

短期的な株価予想がいかに難しい(意味のないこと)かわかるのではないでしょうか?

2018年の低迷を当てた時のS&P500株価指数は2700程度、現在は約4500と約1.6倍になっています。短期的な値動きを予想して売買するよりも値動きを受け入れて長期保有することが大切であることが理解できるのではないでしょうか?